
AIに奪われない仕事の共通点?小5が家庭でITを学ぶ姿とエンジニア現場から見えてきた「子どもに育てたい力」
生成AIのニュースや、人員削減が話題になるたびに、私は「自分の子どもが大人になる頃、今ある仕事の多くがAIに置き換わってしまうのではないか」と不安に思っていました。
プログラミング教室に通わせるべきなのか、英語なのか、それとも別の何かなのかー
記事によって「表現力」「考える力」「非認知能力」など言葉がバラバラで、結局何を優先すればいいのか分からない・・・
ばなママどの記事を見ても「AIに奪われない仕事」の正体は、具体的な職業名ではありませんでした。
私は、小学5年生の娘と自宅でIT教育とも言える「Vtuberチャレンジ」を親子で行っています。
さらにITスタートアップに勤務していますが、現場におけるエンジニアリング業界も見えてきました。



そしてこの力は、これからの将来を担う子どもにも言えること。
この力は特別な英才教育や高額な習い事がなくても、家庭の中で自然に育っていく可能性があります。
この記事では、
- AIに奪われる/大丈夫な仕事はどう考える?
- 実際の現場から見えた、AIに負けない人たちの正体
- 家庭では今から、どんなことを準備すればいいか?
- 何歳から意識し始めれば良いのか?
を、実際の現場観察と子どもの実例をもとに紹介します。



まずは、なぜ「職業名」で考えることが危ういのかから見ていきます。
AIに「奪われる仕事」「奪われない仕事」は、職業名ではなく“作業”で考える
「どの職業がなくなり、どの職業が残るか」という語り方は、実は数年単位で古くなりやすいという弱点があります。
技術の進歩が速いため、少し前まで「なくならない」とされていた仕事が、生成AIの普及によって急速に様子を変えることも珍しくありません。
同じ職業の中でも、AIに置き換わりやすい部分と、残りやすい部分が分かれてきたなと感じます。
たとえばエンジニアという職業ひとつをとっても、仕様がはっきりしている定型的なコーディング作業のように「答えがある程度決まっている作業」から先にAIで代替されやすい傾向があります。
一方で、状況に応じて判断する作業や、AIをうまく使いこなして成果につなげる作業は、今のところ人の手が残りやすい領域です(この傾向がなぜそう言えるのか、実際にどんな現場の変化があるのかは、次の章で具体的に紹介します)。



つまり大切なのは「その職業が生き残るかどうか」ではなく、「その職業の中のどんな作業をしているか」という視点です。
この記事でも、特定の職業名を挙げて「これは安全」「これは危険」と断定する語り方はせず、どんな力を持っているかという観点から見ていきます。
AIに奪われない人たちに共通する力とは?現場で見えてきたこと
では、実際にどんな力があればいいのでしょうか。



スタートアップ勤務をしながら、日常的にエンジニアと関わっている筆者自身の実感を交えて紹介します。
あらかじめお伝えしておくと、これは統計や調査に基づくものではなく、あくまで一人の保護者が自分の職場や日々目にする情報から感じている実感です。
その前提でお読みください。
筆者の職場では、簡単なコーディングや定型的なプログラマー業務が、AIによってかなりのスピードで置き換わりつつあります。
一方で、「AIを使って効率化できるエンジニア」への需要はむしろ高まっているというのが、現場で日々感じている実感です。
同じエンジニアでも、AIを警戒して距離を置く人と、AIをツールとして積極的に取り込みながら成果を出す人とでは、求められ方に差が出てきているように見えます。



同じような変化は、エンジニアリング以外の分野でも見かけます。
イラストや広告の分野でも、「AIで生成しただけ」と感じられるものよりも、人の手や意図が感じられる仕事に魅力を感じるという声を、筆者はSNS(X)上でよく見かけるようになりました。



中にはAIが嫌い と言う厳しい声もありました。
これは筆者が観測している範囲での実感であり、一つの分野に限った話ではなく、業種を問わず起きている変化のように感じます。
これらに共通しているのは、AIを敵として避けるのではなく、道具として使いこなしながら、必要なことを自分で学び、調べ、進めていく力を持っているかどうかという点です。
特定の資格や専門知識そのものよりも、「分からないことに出会ったときに、自分で調べて解決しようとする姿勢」があるかどうかが、AIの普及が進むほど差になってきているように見えます。
その力は家庭でどう育つ?我が家の小5娘の実例から見えたこと
「そうはいっても、特別な教育をしていない自分の家庭で、そんな力が育つのだろうか」と感じる方もいると思います。



ここでは、我が家の娘(小学生)の実例を紹介します。
娘は、好きなキャラクターイラストを描くのをきっかけに、自分でVTuberモデルを作ってみたいと思うようになりました。


ただし、最初からすべてを一人で進められたわけではありません。
イラストとVTuberを始めることになったとき、母親である筆者自身もその分野の知識はほとんどなく、最初は親子二人で情報を調べながら、必要な機材やツールを揃えて環境を整えるところから始めました。
次第に子ども自身がのめり込むようになり、「この髪の毛の描き方はどうやるんだろう」と自分でインターネット検索や動画サイトを使って調べたり「このモデルはどうやって動かすんだろう」とAIに質問して答えを探したりと、自分で調べて進める姿が増えていきました。
その姿は、この記事で紹介している「AIを敵ではなく道具として使いこなしながら、自分で学び調べ進める力」を、子ども自身が実践している例そのものだといえます。
始めてから1年が経った現在、クオリティにはまだ上達の余地があるものの、デジタルイラストを描き、モデルに動きをつけて、自分のモデルでVTuber配信ができるところまで成長しました。
なお、絵の練習方法のひとつである「クロッキー」(短時間で対象の形や動きをとらえる練習)についても、この子どもは自分で調べて知り、取り組み始めたようです。
より詳しい経緯は、別記事「小学生でもクロッキーで絵は上達する?家で一人でできる始め方と続けるコツ」で紹介していますが、ここで共通しているのは、「誰かに教わる」ことを待つのではなく、「自分で調べて、まず試してみる」という姿勢そのものです。
もちろん、これは一つの家庭の体験であり、「この方法が唯一の正解」というわけではありません。
ただ、特別な指導がなくても、子どもが好きなことに主体的に取り組む環境さえあれば、「自分で学び調べ進める力」は自然に育ちうるということは、多くの家庭にとって参考になるのではないかと思います。
何歳・何年生くらいから意識すればいい?
「うちの子はもう〇年生だけど、今から始めても遅くないだろうか」と気になる方もいるかもしれません。
結論としては、この力の育ち方に「この年齢からでなければ間に合わない」という厳密な決まりがあるわけではないと考えられます。年齢そのものよりも大切なのは、子どもが「自分の好きなこと」に主体的に取り組める環境があるかどうかです。
低学年のうちからできる関わり方としては、たとえば次のようなものが挙げられます。
- 子どもが何かで困ったときに、すぐに答えを教えてしまうのではなく、「自分で調べてみたらどうかな」と一言促してみる
- 調べた結果がうまくいかなかったときも、「やり方を変えてみようか」と一緒に次の一手を考える姿勢を見せる(答えを出すのではなく、一緒に考える側に回る)
- 子どもが自分から始めたことに対しては、内容の巧拙よりも「自分で調べて取り組んだこと」自体を認める言葉をかける
最初はうまく調べられなくても、繰り返すうちに、自分で情報を探し、試し、うまくいかなければやり方を変えるという一連の流れに慣れていきます。年齢や学年にとらわれすぎず、子ども自身が興味を持ったタイミングで取り入れていくのが、現実的な進め方だといえるでしょう。
なお、学校教育の中で「自分で調べ、考える力」がどのように位置づけられているかについては、学校や自治体によっても差があるため、詳しく知りたい場合は学習指導要領やお子さんの学校の情報を確認してみてください。
よくある質問
特別な習い事をしていなくても大丈夫ですか?
「自分で学び調べ進める力」は、高額な習い事や英才教育がなくても、子ども自身が好きなことに取り組める環境があれば育ちうると考えられます。前述のとおり、筆者の家庭でも特別な指導はしておらず、子どもが自分で調べながら取り組む姿を見守ってきただけです。大切なのは習い事の有無よりも、子どもが主体的に取り組める対象があるかどうかです。
「AIに奪われない力」とは、いわゆる非認知能力のことですか?
記事によって「表現力」「考える力」「非認知能力」「試行錯誤する力」などさまざまな呼び方がされていますが、いずれも根っこにある部分は近い概念を指していることが多いです。この記事では、それらを「自分で学び調べ進める力」という一つの言葉で一貫して扱っています。学術的な厳密な定義を知りたい場合は、教育・心理学分野の専門的な情報も参考にしてみてください。
プログラミングと英語、どちらを優先すべきですか?
どちらか一方が唯一の正解というものではありません。プログラミングも英語も、「自分で学び調べ進める力」を育てるための手段の一つに過ぎないと考えられます。子どもが興味を持てる方から始める、あるいはどちらにも触れさせてみて反応を見る、という進め方でも問題ないでしょう。特定の教室やサービスを検討する際は、各サービスの公式情報で最新の内容を確認してください。
親自身の仕事もAIに奪われますか?
この記事は子育ての文脈に絞っているため深くは扱いません。
ですが「AIを敵ではなく道具として使いこなす」という考え方は、大人にとっても同じように当てはまると考えられます。
子どもと一緒に、AIとの付き合い方そのものを見直すきっかけにしてみるのもよいかもしれません。
まとめ
「AIに奪われない仕事」を職業名で探そうとすると、答えはいつまでも変わり続けます。
この記事で紹介した現場の実感をまとめると、次のようになります。
- 定型的で答えが決まっている作業から、先にAIに置き換わっていく
- 状況に応じて判断する作業や、AIを使いこなして成果につなげる作業は残りやすい
- だからこそ大切なのは、資格や専門知識の有無ではなく、分からないことに出会ったとき自分で調べて解決しようとする姿勢
- この姿勢は、高額な習い事や特別な英才教育がなくても、子どもが好きなことに主体的に取り組める環境さえあれば家庭の中で自然に育っていく
- 年齢や学年に「この時期でなければ間に合わない」という決まりはなく、子どもが興味を持ったタイミングが始めどき
今日からできることは、そう大きなことではありません。
子どもが何かで困ったときに、答えをすぐに教えるのではなく「自分で調べてみたらどうかな」と一言添えてみる。
それだけで十分な始まりになります。
この記事で紹介した関わり方を、子どもが興味を持ったタイミングで試してみてください。

